ここではサイトの他のカテゴリーにはすんなりフィットしそうにない、でもギターには関連している、といえる私の経験について書いていきます。これまで様々な事に関わりながら異なる場所を訪れ、様々な事を見聞きし、素晴らしい人々に出会ってきました。これらの経験の中で私がみつけたり、感じたことを綴っていきたいと思っています。
さて、これから私が様々な時代の中で経験した音楽シーンを通じた旅について話しましょう。私の五感で経験した通りにロック音楽の進化の過程を描いていこうと思います。たとえば、武道館のステージでマーク・ボランがレスポールを抱えて「Telegram Sam」を歌う中、アリーナの椅子で飛び跳ねていた爽快感。また、ピンク・フロイドが自然に囲まれた野外ステージで演奏する光景は魅了的でした。彼らのサウンドがステージの後ろの山からゆっくりと湧き上がる霧とともに、夕暮れの空気を満たすのを体全体で感じる経験です(このコンサートは東京からは遠く離れた箱根の山腹で行われました)。そして、忘れられない思い出として、目の前の床でスピンしながらSGを演奏するACDCアンガス・ヤングの唯一無二のステージを目撃したことがあります。これはロンドンのマーキー・クラブでの出来事でした。アンガスは彼のトレードマークであるエクスプレッシブなギターソロを始めましたが、そのままステージを降りてしまい、客席のフロアー部分に寝そべりやおら体を横向きにしたと思うと、そのまま足でフロアをけってソロを続けたまま肩を軸にしてぐるぐるまわりはじめたのです。でもワイヤレスシステムがまだ普及していなかった当時で、しかも比較的小さなクラブですからシールドケーブルはしっかりギターについています。。。普通では絶対できないこのアクションを可能にしたのはローディーの離れ業でした。彼はアンガスの回転にタイミングを合わせてギターシールドをまるでロデオのカウボーイがロープを操るように回し、絡まらないようにしていたのです!
こういった話のほとんどは私の記憶にはっきり残ったギターを中心とした経験ですので、ここでお話しすることはやはり理にかなっているのではないかと思います。もしある話題が広がりすぎたり、メインの焦点から逸れた場合は、別のカテゴリを作って移動することを考えますが、今のところはこのスタイルで続けていくこととしましょう。

私が体験した人生で最重要なイベントの一つは、ビートルズの武道館でのコンサートです。彼らは史上初めてポップ/ロックバンドとして武道館で演奏したのです。私は会場が彼らを演奏させることを許可したことに正直驚きました。なぜなら、武道館は従来、柔道や空手の大会などの聖地だったからです。武道館の翻訳は、「武道」が精神的なものも含めた戦うもののための技、あるいは格闘技を意味し、「館」がスタジアムを意味します。当時日本における最大の屋内スタジアムでしたが、その目的はロックンロールとは全く関係ありませんでした。この歴史的なコンサートの後、武道館は日本を訪れる外国のバンドにとっての第一優先の会場となりました。偶然にも、私はこのロックの歴史の一部ともいえる武道館から30分以内の距離に住んでいました。
ビートルズのコンサートのチケットを手に入れるのはかなり難しいものでした。スポンサーの一つは有名な歯磨きの会社、ライオン歯磨でしたが、ラッキーな事にその製品を購入し、紙パッケージの端を切り取り、それを送れば抽選でチケットが当たる、というキャンぺーンがありました。それなのでどうしてもビートルズを見たかった私は当選の確率を上げるために家族に数か月分の歯磨きチューブをまとめ買いするようにお願いしました。締め切りの直前に私は10枚の応募を送る事ができ、幸運にも1枚のチケットを入手する事ができました。そうして当日私は今ビデオで残っているようなビートルズの演奏を武道館で観ることができたのです。ビートルズの曲はすべて知っていて好きでしたが、なぜかジョージのうたう IF I NEEDED SOMEONE が当時の印象として残っています。
最近倉庫の整理をしていたらそのチケットを見つけました。こちらです。


ビートルズ、コンサートチケット. 06/30/1966
武道館.

ビートルズのチケット裏側. 歯磨きチューブの写真がのっています.